ソーダを睨む

ご無沙汰してます




クリームソーダを食べるなら低いソファーの
傾きかかった喫茶店の窓際。


外は曇り空で、別れ話をしに来るあの子を待つ。




頼んだソーダは緑と白と赤。

アイスが軟らかくなるまで放っておく。



放っておいて水を二回おかわり。

扉が開き、ドアベルが鳴るたび、はっとして身構える。



スポーツ新聞を読む。
何が書いてあるか分からない。


携帯を開く。
既読分を消す時うっかり
あの子のメールを開いてしまう。

メールを開くたび、その時が思い出され
読みたくないのに読む。

何ページあるんだ?


ずらりと並ぶあの子のメール。
携帯ごと捨てたい。




ソーダに浮かぶアイスをつつく。

長いスプーンで上下を引っくり返し
上澄みだけストローで吸う。



何とかあの子を取り戻したい。

もちろん謝るし、面白いこと言って笑わせたい。



何て言えばいいのか。

アイスはなかなか軟らかくならず腹が立ち
強く突いてソーダがこぼれる。



ソーダを睨む。


紙ナプキンで拭いて尻のポケットに押し込む。

おしぼりを使ってテーブルを改めて拭き
くるりと巻く。



いちいち拭いたり、巻いたりを嫌がってたな、と
思い出しながら、おしぼりを所定の位置に戻す。



何ていえばいいんだ。


ストローを深く差し込み、メロンソーダだけ飲む。

沈むさくらんぼをつついて、枝を吸い込み
引き揚げようと試みるも失敗。




扉が開いてあの子がやってくる。

さあ、何て言おう。





と、いうほど成人男子がクリームソーダを
食べるには、ややこしい状況と段取りが
必要とされるのであります。

そういえばご無沙汰してます、クリームソーダ。




2007/2/16

2007年07月28日 飲み物 トラックバック:0 コメント:0

炭酸飲料をおいしく飲む方法

サイダー





ファストフードで出す炭酸飲料。


ベタ甘の原液とスッカスカの炭酸
小さい小さい角氷。

これらが紙コップで混ざりあって
ひどい味になる。


いきなり混ぜるから原液と炭酸のなじみ悪く
しっかり凍らせていないから、氷はすぐ水になり
どんどん薄まる。


出されて一分以内で飲まないと、マズさはさらに倍。


水っぽい上になんだか薬臭い。

せっかく熱々のフライドポテトがあるのに
どうしてくれるのだ。




人のうちでペットボトルの炭酸を出される。


大人数だとぺなぺなのプラカップ
使う時があります。

これに注いで一時間放置した
炭酸のまずさは格別です。



元々ペットボトルは炭酸が弱い。
その上放置すればドロリねとつく
死に甘の色付き水に変身。

強く押すとへこむカップがまずさに拍車をかける。


普段飲んでいるものが、こんなに甘い事に驚く。





炭酸飲料はよく冷したのを注いで
すぐ飲むに限ります。


私が家で飲む時は大ぶりのグラスを
一時間前に冷凍庫へ。

入れる前、清潔で乾いた布で中をよく拭いておく。



飲むのは五百ミリ缶。
これは三十分前に入れる。

三ツ矢サイダーがおすすめ。

冬なら二十分。
そっと横に寝かせる。



時間は正確に計らないと注ぐ時
炭酸シャーベットが出てくるから注意が必要。

それも悪くないけど、ゴクゴク飲めなくなるし
溶けてから飲むと味が一変してしまう。




時間がきたら取出して、グラスに炭酸を注ぐ。

ドバと注がず、グラス壁面に
這わせるように、ゆっくり注ぐ。



顔をグラスに寄せる。
意外なほど強く香りがたつ。

シュワシュワと炭酸の弾ける音に耳を澄ませ
立ち上る無数の小さな泡をお陽さまにかざす。



でギューーーっと喉に流し込む。

頭が一瞬、白くなるほどうまい。



この飲み方が今の所、一番。

自販機で買ったのをプシっと開け
飲むのとは格段の差があります。




しかしそのまま飲んだほうがいい炭酸もある。


お祭りの縁日。

ラムネを水で冷やすタイプの冷蔵庫から出す。


名称不明の道具で、穴を開ければ逆流するラムネ。

あわてて受け取りあわてて飲む。
ビー玉に邪魔されながらの、立ち飲みが楽しい。




オロナミンC。

歯茎を腫らしたとき、歯医者さんに勧められた。

歯磨き代わりに、オロナミンCで
口をゆすぐといいらしい。


試しにやって驚いた。

口の中が弱ってるせいもあるけどスゴい炭酸の強さ。
チックチクする。



オロCは量が少ない!
と、いつも不満だったけれど、
それには理由があったのだ。

あれが倍の量だったら、半端ではない
ゲップが出るだろう。



次の日うがいをしようと、オロCを
ビンからコップに移した。

うぐ、と声が漏れる。



くれぐれもオロナミンC愛好家のかたは
マネなさらぬよう。

詳しく書きませんが、私はそれで縁が薄くなりました
オロCと。



2007/2/4

2007年07月28日 飲み物 トラックバック:0 コメント:0

喫茶店 その4

これまであげたのは、どれも癖が強く
ハードコアな店ばかりです。


今回は、友達や好きな人を連れても
大丈夫な店の話。



有楽町の喫茶店






有楽町の築五十年を越えるビル一階の店。

入口からは想像つかない程
中は広く天井が高い。

二階建てで、内装は昭和のモダンなラウンジ風。
昔の日活映画に出てきそうな雰囲気であります。


ここのサンドウィッチが、ほんとイイ味。
どれを頼んでも外れなしです。


作りたてが、すばやく出され、噛めば熱々。

パンの焼き色よろしく、断面から
見える具材は、整然と積み重なる。

となりにフライドポテトが
添えてあるのも嬉しい。
やはり、これも熱々。


勘定する時、小柄な老中国人のマスターが
すごく丁寧に挨拶をしてくれます。

今年ビルの建て替えで店を閉めるそうです。
明治村みたいに店を丸ごと移植したい。
うちの近所に。





スカラ座店内





新宿は歌舞伎町に、中世の城がありました。
石壁にはツタまで絡まっている。


三階建ての店内は黒っぽい木で
内装が施され、光を吸い込みます。


一階は冬になると暖炉に火が入り
それを見るたび、幸せ者になる。

三階は老朽化の為立入禁止。
二階は通りに面して小窓が並んでいて
天井は低い。

あたりは暗く、小窓からぼんやり差し込む
光の中に座っていると、修道院にいる気分になります。




涙声の別れ話や、ねちっこい商談が耳に入り
引き戻されますが。

オレンジを丸のまま搾ったジュースがうまかった。

勘定は高いけど、その浮世離れした
店の様子が好きでよく行きました。



いつかなくなる店と思いながら
実際閉店してしまうとショックなものです。






青山の大学近くにあるコーヒー専門店。

この店には、父がなくなるまで
毎日三度通っていた。

豆はサントスのみ。店の裏で自家焙煎しています。



民家の一階部分を借りた店内は
カウンターとテーブル二つ。

縦長の作りで片側一面が庭に面している。

ここで自分は、嫌いだったコーヒーが
飲めるようになりました。
それからは、この店の味が
コーヒーの善し悪しを計るものさしです。

香りが充分に立ち、口当たり軽く甘やかで
後味はすっきり。
何杯も欲しくなる味です。



晴れの日。

開店したばかりのカウンターに座り
背に陽を受けてコーヒー飲んでると元気になってくる。

店の中は今も、なんとなく父の気配が残っています。





2006/11/1

2007年07月19日 飲み物 トラックバック:0 コメント:0

喫茶店 その3

本屋に近い喫茶店






新宿はかつて喫茶店の宝庫でした。


西口に出て信号渡ってすぐに一軒。

入り口前にはショーケースがあり
サンプルが置かれている。

朝早くから営業してるんで
ここではモーニングをよく食べた。


表の人波を見ながら、銀行のロビーを思わせる
愛想のない店内で、うまくもまずくもない
コーヒーを飲んでると落ち着きます。





ゆるい坂を下り、東口へ。

大きな本屋の脇にある店はいつも混んでいる。
二階の窓からは人の流れがよく見える。

コーヒーは高い上においしくない。
だけど買った本をすぐ読みたいから、よく行った。




東口近くに、千円のコーヒーを出す店がある。

店内には川が流れ、ソファーはふかふか。
柔らか過ぎて腰にくるほど。


一回注文すれば、閉店まで追い立てを
食う事はないから打ち合せによく使った。

地味な拵えのウェイトレスが
とても丁寧なお辞儀をする。それが少し不気味。





靖国通りに面して、商売気ゼロの喫茶店がある。

ガラス張りの店だが、中は暗い。
カーテンも窓もほこり臭く、アイスコーヒーは業務用。

店員は呼ばれるとイヤな顔をする。


古い作りの店内は、客席が広く天井が高い。
スポーツ新聞読みつつ、外を見るのが楽しい。






歌舞伎町のど真ん中には、コワイ店がある。
一説によると、客の八割が
ヤクザで占められているらしい。


間違えて入った時はシビれました。

おっかないおじさんたちが足広げて
業務連絡や商談をしています。

うつむいて味のしないコーヒーを飲み込んだ。




別の意味で怖かったのは、歌舞伎町の
雑居ビル三階にある同伴喫茶。


同伴喫茶って知ってます?

中は暗く、背の高いボックス席で
男女が何かをする店であります。

単身客は入店不可で、二時間いくらで金をとります。



きしむエレベーターで三階に着く。
扉が開いて閉まる。
真っ暗闇です。何も見えない。

女の子の手を取ります。

勇気を出し一歩踏み込む。



すると
押してくるんです。闇が。

体の全面を、ぐうぅっと、厚手の布で
押し返すような感触。


即座に回れ右してエレベーターの
ボタンを手探ってカチカチ。



下に降りるまでの時間が、ほんと長かったです。




2006/10/31




2007年07月19日 飲み物 トラックバック:0 コメント:0

喫茶店 その2

喫茶クラシック







喫茶店は、飲食するだけの場所ではなく
雰囲気も大切な売りものであります。



中野の商店街脇にある一軒家の名曲喫茶。

小さな看板と、窓から漏れる光で、営業中と知れる。


外観は廃屋、プロレスラー三人で
建物を全壊させる事ができそう。


中は、物置化した四十年前の山小屋。


照明は暗い。
入り口に切符売場のような小窓があり
そこで飲み物を注文する。


コーヒーと紅茶(温・冷)
オレンジジュースの全五種がメニュー。

注文と引き替えに色付きのプラ板を渡される。

階段を上がれば、踏み板がきしむ。
掴んだ手摺りが、ぐらぐら。
慎重に上がる。



二階はゆるく傾斜がかかり動くたび床がゆれる。
不安は高まる。


ふと、その場で思い切りジャンプしたくなる。

そんなことをしたら、床は抜け
一階まで急降下、下の客も無事では済むまい。




斜めになりつつ、着席。

ソファーは破れ放題、テーブルは傾ぎ
壁は主の手によるイヤな油絵が大量展示されている。


なんだか、ほこりっぽい。


注文のアイスコーヒー来る。
中には小さめの氷が二つ三つ。

ミルクがマヨネーズの蓋に入っている。

ぬるくて粉っぽいそれを飲みつつ、本を開く。




灯りはほとんどない。
だから、五分もすると目が痛くなる。


下のスピーカーからクラッシックが流れている。
音が澄んで綺麗だ。

ここが名曲喫茶だったことを思い出す。


読書をあきらめ、呆然とする。
これが楽しい。


長く続いてほしい店の一つであります。




2006/10/30

2007年07月19日 飲み物 トラックバック:0 コメント:0

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